甘い一日
2月14日。
女の子はもちろん男の子もそわそわする日だ。
そしてとても甘い一日でもある。
聖バレンタインデー。
女の子が男の子にチョコをあげる日である。
しかし何事にも例外と言うものはあって、男が男にあげるということもある。
それがまさに俺である。
今俺は、あろうことか部活の後輩からチョコを差し出されていた。
義理と言うことも考えられないわけではない。
しかし義理ならばこんな人目のつかないところにわざわざ呼び出したりするだろうか?
しかも相手はでかい図体をしているのに女の子のように顔を赤らめている。
チョコもあからさまに手作りを示しているラッピングだ。
もしかしたら俺の自惚れかも知れない。
建物の影に部活の仲間が潜んでいてドッキリって言うことも有り得ないこともない。
こんなことを考えるのは向日、忍足あたりだろう。
「先輩?」
俺の目の前にいる鳳は、なかなか反応を示さない俺に不審がって名前を呼んだ。
俺は考え事を中止して鳳を見た。
「お前誰に言われてこんなことしてるんだ?」
考えることが面倒臭くなった俺は本人に直接聞くことにした。
「え?自分の意思ですよ。」
「俺、お前に何かしたか?まさかお前にこんないたずらされるとは思わなかったぜ。」
後輩の中では一番仲が良かったと思っていたからショックだ。
「え!いたずらだと思っていたんですか?」
「違うのか?」
「違いますよ!本気です!」
鳳は力強く言った。
「そっか。まぁ、気持ちは嬉しいけどよ俺男だからな。」
「わかってますよ!承知の上で先輩が好きなんです。」
真っ直ぐな目で俺を見つめてくる。
「俺は宍戸先輩が好きです。」
「・・・・・・。」
暫し沈黙の中俺たちは見つめあった。
「先輩はどう思ってますか?」
「まぁそう言ってくれるのは有難いし嬉しいよ。」
そして一呼吸置く。
「でも鳳のことをどう思っているかわからない。」
今までずっと後輩としてみてきたから今すぐに恋愛対象で見るという器用なことはできない。
「じゃあ、一週間でいいんで俺とお試しで付き合ってください。途中でダメだと思ったらそこで終わりで良いんで。」
俺はかなり悩んで決心すると「わかった」と答えた。
「本当ですか!?」
鳳は嬉しそうな顔をした。
「あぁ・・・。」
「じゃあよろしくお願いします。」
そういうわけで俺たちはお試しで付き合い始めたのであった・・・。
END
鳳宍です。折角のバレンタインネタですが活かせてません。
しかも鳳の誕生日なのに一切触れていない・・・。
さらにこれは続きます。一応これで終わりとしていますが・・・。
いつもながらの拙い文でしたがここまで読んで下さって本当にありがとうございました☆
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06'4/7