表裏一体
俺、久居尚弥は一般人で本当に普通の高校生だ。
成績なんて中の中。
運動神経はあると言うわけでもないし、だからと言ってないわけではなかった。
一般中流家庭の一人息子で、金持ちってわけでもない。
逆にこんな平凡すぎるやつがいるだろうかと思うほど普通の男だった。
それなのに何故か先週、同じ学校の同学年の人に告白された。
それはとても奇妙な出来事だった。
なぜ奇妙かと言うと相手が男だったからだ。
女の子だったら好みだったら付き合うし、好みじゃなかったら断って、とマニュアル通りにことを進められる。
しかし相手は男だ。
しかもただの男じゃない。
俺に告白してきた男、大月篤は超が付くほどの不良である。
ギラギラした金髪に、さらには両耳にたくさんのピアスが光っている。
制服なんて当然のようにまともに着ているところを見たことがない。
それに噂じゃあ相当の問題児らしく、無免許でバイクに乗るし、夜中遊び回るのも当たり前。
泣かした女は星の数だけいるらしい。
暴力団とも関わりがあると言う話も聞いた。
俺は普通の男でむしろ真面目に入るぐらいだ。
だからやっぱり不良を見ると怖い。
そのためなかなか断れないでいる。
断ったらどんな目に遭うかなんて恐ろしすぎて考えたくもない。
だからといって付き合うわけにもいかない。
俺は男であって相手も男だからである。
それに付き合ったとしても怖い目に遭わせられそうだ。
そもそもなんで俺なんだろう?
自分で言うのもなんだがこんな男はどこにでもいる。
その辺歩いてたらすぐにでもぶつかるだろう。
そんな男をなぜヤンキーが見初めるのだろうか?
罰ゲームか何かに違いない。
時間がほしいと頼んで返事を先延ばしにしてもらったがどうやって断ろうか?
殴られる覚悟をしなくてはいけないだろう・・・。
くそ!!不良たちの目に留まったばっかりに・・・!
返事は今日の放課後、屋上でということになっている。
屋上のドアは鍵を掛けることができるので誰のも見られずに殴ることができるってことだ。
明日には死んでこの世にいないかもしれない。
期間を持ったばっかりにこんなことを毎日考えて怖い日々を過ごしてきた。
後悔しても遅いが何であの時すぐに断らなかったのだろう?
あの時殴られていれば今頃少しは楽だったかもしれない。
だがそれもただの推測だ。
もうなるようになれだ。
決死の覚悟を決めて放課後になるのを待った。
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