監禁


「俺の女と寝たんだって?」
目の前のスーツにロングコートを纏い、髪をきちんとセットした男に問われた。
表情はサングラスでよくわからないが只者ではない雰囲気が漂っていた。
剣呑と言ったその声は大人の男の色気を醸し出している。
俺は両手に花ならぬ両手をチンピラに掴まれた状態で男の前に立たされている。
すでに蹴ったり殴られたりされた後なので自分では立つことができない。
下校途中、いきなり目の前に黒塗りのいかにもな車が止まった。
俺もビックリしたが周りにいた奴らもびっくりしていた。
その車から二人の男が出てきたと思ったら俺に話しかけてきた。
「お前、原 翠(はら みどり)だな?」
「そう・・・ですけど。」
少しびびりながらもそう答えた。
俺の名前を知っていると言うことは俺を捕まえに来たということだろうか?
案の定両腕を捕まえられ車に押し込まれた。
口元に白い布を当てられた。
すぐに意識がかすれていき、ぼーっとした頭でクロロホルムを嗅がされたのだなと理解した。


そんなこんなで気がつくと暗く光の射さない部屋にいて目の前にまさにやくざのボスといった感じの男が立っていたのだった。
「俺の女と寝たんだろ?」
もう一度男がそう言った。
険しい顔が一層険しくなったように思えた。
「あぁ、寝たよ。」
俺ははっきりと男の耳に聞こえるように言った。
俺が堂々と言うとは考えてもいなかったのか少しビックリしたような顔になった。
「お前、俺が誰だか分かってんのか?」
一オクターブ低い声で問われた。
「どっかのやくざの親分さんなんじゃないのか?」
怯むことなくそう答えた。
しばらくの間その親分さんらしき人と睨みあっていたが突然男はぷっと吹き出した。
「お前馬鹿なのか?それとも只者じゃないだけなのか?どっちにしろ面白い奴だな。」
「それはどうも・・・」
馬鹿にされたような気がして不貞腐れたようにそう言った。
「お前、俺の者になる気ないか?大事にしてやるぞ?」
「それって組に勧誘してるのか?」
組に勧誘している割には言い方が変だなと思って尋ねてみた。
男は口の端を上げて不敵な笑みを浮かべるとはっきりとこう告げた。
「俺の女にしてやるってことだ。」
・・・はぁあ!?
「ちょっと待った!あんたホモか?」
「お前俺の女と寝たんだろ?まぁ、敢えて言うならバイってやつかな。」
!!こいつヤバイ!
普通男の俺を面白いからって女にしようとするか?
「アンタ女はどうするんだよ?女と寝たから俺をココに連れてきたんだろ?」
コレは奴の冗談なんだと確認したかった。
「あの女はただの遊びだ。別に顔は悪くなかったから女にしてやってただけだ。」
眩暈がした気がした。
俺も結構遊んでる方だが、やっぱり違うなと思った。
レベルが違う。
俺がココに連れてこられてきた原因の女はかなりの美人だった。
色気もあって大人の女という感じだった。
こんな女と寝れるなら罰くらい受けてやろうかなという気になるほど滅多に見れない美人だった。
それがこの男にとってはただの遊び・・・。
「さぁ、俺の女になる気になったか?」
「だ〜れがなるか!!」
嫌味ったらしく言ってやった。
俺の両腕を掴んでいた奴らが驚いたあと、目の前の男が切れないか怯えたような口調で「口を慎め!」と言った。
こんな変態野郎に慎むも何もない。
「やっぱりお前は面白いな。こいつを俺の部屋まで運べ!」
男は俺の両腕を掴んでた奴らにそう言うとさっさと部屋を出て行った。
俺はというと俺の腕を掴んでいた奴らに強制的に連行されてしまったのであった。



ある番組である芸能人が言ってた過去の話を聞いて突発的に書いたものです(´∀`ι)
すごいですよねぇ。ヤのつく職業の方の女に手を出すなんて。
その女の人を褒めたら無傷で帰してもらったそうです。
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06'8/5