監禁2


「・・・一体俺は何なんでしょうか?」
誰もいない広い部屋でぼそりと呟いた。
なぜ俺がそんなことを言ったかというと今の自分の置かれた状況にあった。
ベッドに寝かされているのだ。
別に病気になったとかそういうわけじゃない。
怪我をして安静にしているわけでもない。
俺をこの部屋まで連れてきた男たちに痺れ薬を飲まされて身体が動かないのだ。
意識ははっきりとしていて口も滑らかに動くが四肢が動かなかった。
海から上げられた魚の気分と言っていいのだろうか?
まな板の上の魚?
俺は魚か!?
こう動けないと変なことばかり考えている。
しかもこうなってから時間が経った。
いつまでこうしていればいいのだろうか?
痺れは切れそうにもない。
いつになったら切れるんだ?
「・・・はぁ〜。」
深いふか〜いため息を吐いた。

「待たせたな。」

ガチャリという扉の音と共に先程の変態男が現れた。
「待ってねぇよ。」
退屈で嫌だったけれど、この男が来ることのほうが嫌だった。
「まぁ、そう言うな。ちょっと準備に時間が掛かってな。」
そう言うと近くの机に見たくないものが次々に置かれていった。
「・・・なんだよソレ。」
きっと今、俺の顔は青褪めているだろう。
自分でも分かるほどに血の気が引いていった。
「お前に使うんだ。慣れてないだろうからな。」
「何に?」と聞くのは止めて欲しい。
俺の口からはとても言いたくない。
「そんな物使うつもりはない。」
男の象徴を模られた派手な色の物体や、スイッチの付いた丸い物、丸の連なったような形の棒。
その横には液体の入ったボトルも置いてある。
それらがどういう風に使われるかなんて俺にとって分かりきった事だった。
「使わないとつらいぞ。俺も痛いのは嫌だしな。」
俺が言いたいことを解っておきながらわざと解ってないふりをしてそう言った。
「そういうことじゃない!お前となんか絶対しないぞって事だ!!」
考えるだけでも寒気がする。
その後吐いたら風邪だろうか?
じゃなくて、俺は自分でも言うのは何だがルックスはそこそこいけてるほうだと思う。
喧嘩も弱くないしで女を切らしたことがなかった。
一通り女を食い尽くしてそろそろ普通の女どもに飽き飽きしていた頃でそんなときに今俺がこうしている原因である女とであったのだった。
そんな俺でも同姓に性的欲求が向く奴らの存在はし知っている。
男同士のやり方なども一通り知ってはいる。
男にとってどこが性感帯なのかも・・・。
若い頃(今でも若いが)はそういうことに興味を持つものだ。
別に俺は同性愛者に偏見を持つつもりはない。
しかし、自分に向けられているとすれば別だ。
俺はホモじゃないし、前に述べたように男に走るほど女に飢えてるわけではない。
しかも今の俺の状況といったら更に酷いことに俺が下、つまり受ける側にしか見えない。
屈辱以外の何者でもないんだ。
それこそ死んだほうがましかもしれない。
「お前がするしないと考えていようが関係ない。これは決定事項だ。」
男は有無をも言わせないような口調ではっきりとそう述べた。
「大人しく俺モノになるしか道はないんだよ。」
片方の口の端を上げ不敵に笑った。
「なんだよそれ!!ふざけん・・・っ!!」
言い返してやろうと俺は大きく口を開け叫んだ。
しかし、途中何も言えなくなった。
何故かというと温かく柔らかいものが俺の口を塞いだからだった。
ソレは言うまでもなく男の唇だった。
突然のことにビックリしている間に顎を?まれ逃げられないように固定されてしまった。
最初は重ねるだけの軽いものだったが徐々に深いものへと変えられていった。
角度を変え何度も重ねられ終いには口の中にぬるっとしたものが入ってきた。
ソレは俺の口の中を蹂躙してすぐに俺の舌へと絡めてきた。
「むぅ・・・ふ、ふぁ・・んん。」
さっきまでの殺伐とした空間から今は濃厚な空気が漂い始めていた。
やばい。
俺の頭の中にはその言葉がでかでかと浮かんできた。
この男のキスは俺がしてきた中で一番上手かった。
今まで俺がリードしていたのもあるかもしれないがこんな積極的なキスを受けたのは初めてだった。
全てを奪いつくしてしまいそうな熱く蕩けそうなキスだ。
快楽に弱い俺は最後にはそのキスを受け入れてしまっていた。
「どうだ、気持ちいいだろ。」
長い長いキスの後、男にそう囁かれた。
低く艶のある声に俺は不本意にも落とされそうになってしまった。




ヤクザの男の名前が出てきていないことに気がつきました(汗)
たぶん次くらいに・・・出せたらいいなぁ(爆)
このままずっと出てこないまま終わったり(^_^;)
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06'8/9