監禁3
基本的俺は快感に弱い。
男ってそういうものだろう?
やっぱり気持ち良いものは気持ちいいし、好きだ。
相手が女だったら尚いいんだけど・・・目の前にいるのは男。
俺も男だし、相手も男。
俺はホモじゃないから素直にこの快感に溺れてしまうことに抵抗がある。
でも、気持ちいいことは気持ち良い。
男はかなりキスが上手い。
たぶんあっちの方もかなり上手いんだろうと余計な考えが頭の中に浮かんでしまう。
あぁ〜じゃなくて、ヤバイヤバイ!
このままじゃこの名前も知らない男に落とされそうだ。
こんな男前な奴が恋人がいないはずがない。
つまり男の大勢の愛人の一人にされてしまいそうだ。
そんなの絶対嫌だ!
キスの余韻に浸っていた俺ははっとそう考えると再び抵抗を示した。
「気持ちよくなんかない!どけっ!」
退いてもらってもまぁ縛られてるから身動きできないんだけども。
上に人がいないだけでも気分は違う。
「嘘つくな。気持ちよかったんだろ?大人しく俺に抱かれろ。」
「あんた自意識過剰なんじゃねぇの?気持ちいいわけないだろ。」
まぁ、癪に障るが実際は気持ちよかったんだけど・・・。
「ははは。やっぱりお前は面白いな。特別にお前には俺の名前呼ぶことを許してやるよ。」
男はそれはそれは嬉しそうに笑うとそう言った。
この男は何様だ?
「俺の名前は神野正弘だ。正弘と呼べ。」
聞いたことのある名前だった。
それもそのはず。
この辺り一帯を取り仕切っている組の組長の名前だからだ。
若いのに有能だということで有名だ。
頭も切れるし喧嘩も強い。
確かにそういうオーラが出てるなぁと納得してしまう。
「あんた組長だったんだなぁ。」
「お前、知らなかったのか?」
呆れられたような顔をされてしまった。
「まぁ、そんな感じはしたけどな。別にどうでもいいし。」
能天気な俺の発言にさらに溜め息まで吐かれてしまった。
「そんな発言俺の前だけにしとけよ。」
なんだか心配してくれてるようだ。
「あんた、俺の心配するなんて変な奴だな。」
ははは、と笑って言うとフッと優しく笑って問題発言をした。
「お前に惚れてるからな。」
・・・。
俺は笑ったままの形で顔を固めてしまった。
今のは俺の聞き違いだろうか?
しかもその笑顔は反則だろう!
万人をメロメロにしてしまいそうだ。
そんなことを考えている俺は今まさにその笑顔の被害にあっていて心臓がドクドク言っている。
「返事は?」
顔が近づいて、唇に息が掛かるくらい間近で囁かれた。
「へへへ、返事?」
俺は柄にもなく動揺してどもり捲くってしまった。
そんな俺を見て何を思ったのか、正弘はそのまま近づいて唇を触れ合わせた。
最初は軽く触れ合わせるだけだったが角度を変え、徐々に深いものになっていく。
「ん、・・・っふ。」
角度を変えるたびに息が隙間から漏れる。
いつの間にか痺れが取れていた両腕を無意識のうちに正弘の首に絡めた。
そしてより深くお互いの唇を味わう。
いつの間にか舌を絡めあっていた。
濡れた音が静かなこの部屋に響いている。
「ふぁ、ん・・・っは、んん・・・。」
お互い熱い息を漏らす。
「やっぱりお前も俺のこと好きだろう。」
漸く唇を離すと正弘は確信を持ってそう言った。
「へっ、調子乗んな。」
素直に認めたくなくてそう言ってやった。
しかし、正弘にはお見通しなんだろう。
不適に笑う顔がそう言っている。
「でも、お前の気持ち受け止めてやらないでもないぜ。」
「ありがとよ。」
俺が天邪鬼っぷりを発揮した発言をすると正弘はわざとらしくお礼を言って再び唇を合わせてきた。
俺は素直に正弘の首に絡めた腕の力を強めるとそれに従った。
どうやら俺はこの男に身も心も捕まってしまったみたいだ。
---END---
思ったより早い終わりでした。もっと続くかなとか思ったんですが、ま、いっか。
エロシーンとかバリバリ書こうかなと当初は思っていたんですがコレかいてる時点ではあまり乗り気じゃなかったので
なしにしました。期待してた方(いるのか?)スイマセン(>_<;)
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NOVEL
06'8/9