いくつかのこと3
「っ!止めろ!!」
制止の声も聞かず雪斗は口の中に楓の雄を銜え込んだ。
あったかな口に銜え込まれているということに楓は酷く興奮した。
しかも雪斗は中性的で可愛い。
女の子にされているのと錯覚しそうだ。
しかし頭の隅でこいつは男なんだと叱咤する声が聞こえ、必死で理性を保つ。
視覚的にも興奮するので楓はギュッと目を瞑った。
こうすれば銜えられているという現実から逃避できると思った。
だが、その考えは安易過ぎた。
ピチャピチャと舐められる音や、吸われ、舐められる感覚が余計リアルに感じられる。
「ん・・・ふっ、んん・・・。」
楓は声を出さないようにと唇を噛んだ。
雪斗の巧みな技に翻弄される。
やばい!
射精感が頂点に達そうとしたときだった。
呆気なく雪斗の口は楓の雄から離れていった。
何で止めたのかと楓は不思議そうな顔で雪斗を見つめた。
「何?もっとして欲しかった?」
その顔を見て雪斗は嬉しそうにそう言った。
「んなわけねぇだろ!」
実際、途中で止められたことに不満を持っていた楓は恥ずかしくなって真っ赤な顔でごまかすように言った。
「ごめんね。でも最初は一緒にイキたいじゃん。」
雪斗が言いたいことを理解できず首を傾げる楓の後ろの穴に雪斗は徐に指を突っ込んだ。
「・・・!?いってぇ!!」
普通は出すことにしか使わない場所に突っ込まれて楓は痛さに顔を顰めた。
「何してんだ!!」
雪斗がしようとしている行為を止めさせようと暴れまわった。
「動かないでよ。大丈夫、慣らしてるだけだから。」
雪斗は落ち着いた声で楓を宥めた。
「慣らす?そんなとこ慣らしてどうするつもりだよ・・・まさか!?」
今まで男同士のセックスのやり方を知らなかった楓は気づかなくてもいいことに気づいてしまった。
例え男とのやり方を知らなくても、女とケツの穴を使ってやるセックス方法があるのを知っていた。
「そのまさかだよ。」
追い討ちをかけられて更に激しく暴れだした。
「男に突っ込まれてたまるか!」
しかも自分より身体が小さい男にだ。
「大人しくしろ!」
いつまでも暴れまわっていると、空いているほうの手でぐっと顎を掴まれた。
そしていつもよりいくらか低い声で静かに凄まれた。
咽喉を押さえられているので声が出ない。
それをいいことに雪斗は行為を再開した。
顎を掴んでいる手を退けようと掴んで力を入れるがびくりともしない。
苦しいのと後ろの穴に指を突っ込まれている気持ち悪さとで自然と涙が零れた。
「泣くなよ。大人しくしてれば気持ちよくしてあげるからさ。」
雪斗は楓の顎から手を離すと楓の横に手をついて唇を楓の目じりに寄せた。
「これ・・は・・強姦・・・だぞ。」
途切れ途切れにやっとのことで言葉を紡いだ。
雪斗は楓の目じりに溜まった涙を舐め取ると、不敵な笑みを浮かべて言った。
「強姦?そうかもね。でも、感じてるなら合意してるのと同じだよ。」
「違・・・感じてなんか・・・ない!」
生理的な涙が出るほどに感じていて、なお抵抗を止めない。
陥落しない精神に雪斗の征服欲は増幅していくばかりであった。
もっと酷くして、楓をドロドロに溶かしたいという危ない思考に到る。
その欲望のままに雪斗は楓の中に突っ込んだ指を動かした。
まだ中はきつい。
まるでこれ以上雪斗の指が好き勝手しないようにしているようだった。
しかしそれでも指を動かし続けていると、ある一点で楓が違った反応を見せた。
「あっ。」
今までとは違う甘く、高い声が漏れた。
楓は咄嗟に口を両手で押さえたがもう遅い。
雪斗は確信したように笑うと、すぐさまそこを集中的に攻めた。
「んあっ、あっ。」
抑えてる手の隙間から声が断続的に漏れる。
楓は恥ずかしそうに顔を真っ赤にさせて必死に耐えた。
「ねぇ、気持ち良い?もっと声出してよ。」
雪斗は意地悪にそう言うと更に指の動きを激しくした。
それでも頑張って声を出さないようにしている楓に焦れたように徐に指を抜くと楓の上から退いた。
突然なくなった重みに楓は不思議そうな顔をして雪斗の姿を追った。
折角の逃げるチャンスなのにパニくっててそんなことまで頭が回らない。
雪斗は自分の鞄からなにか取り出すと、すぐに楓の元へと戻ってきた。
そして手に持った筒状のものの蓋を外すと中に入っていた液体を指に絡ませ、さらに楓の後ろの穴に垂らした。
「っ!!冷たっ!!何だこれ?」
楓がそう聞くと雪斗はさらりと「ローションだよ」と答えた。
「!!」
楓がやばいと思って身体を硬直させている隙に雪斗は再び指を穴に突っ込んだ。
先程よりは大分楽に入っていく。
大丈夫だろうと指を三本に増やしてバラバラに動かした。
「やめ・・・ろ、雪斗・・・。」
指が良い所を掠め楓は顔を顰めた。
「そろそろいいかな・・・。」
雪斗はそう言うと指を引き抜くと、十分に硬く熱を持った自分の雄を楓の後ろの穴にあてがった。
「楓・・・力抜いてて・・・。」
そう言うと一気に押し入れた。
「〜〜〜!!!」
楓はあまりの痛さに声にならない声で叫んだ。
額に薄らと汗を掻いている。
「きつ・・・」
丁寧に慣らしてもまだきついそこに雪斗は顔を顰めた。
先の方だけ入ると行為を止めた。
「楓、大丈夫?」
「大・・丈夫な・・・わけないだろう!」
切れ切れにやっとのことでそう言った。
楓は荒い息を繰り返した。
激しく胸が上下する。
「ごめんね・・・。」
雪斗は悲しそうな顔でそう言うと宥めるように頬に何度も触れるだけのキスをした。
「謝る・・くらいなら・・最初から・・すんじゃねぇよ・・!」
「うん、ごめんね。謝りついでにもうちょっと我慢して?」
そう言うと挿入を再開した。
「痛って・・なにが・・・ついで・・だよ!!」
先の方が入っているので先程よりはいくらかスムーズに入っていく。
「楓の中・・・熱い。」
全て入ってしまった後、雪斗は恍惚とした顔でそう述べた。
「くる・・し・・・。」
楓は酷い圧迫感をひたすら耐えていた。
「すぐに気持ちよくしてあげるからね。」
雪斗はゆっくりと動き始めた。
「あっ、うご・・くな・・。」
雪斗の腰の動きに合わせて楓の身体は揺れた。
なおも圧迫感は消えず、出たり入ったりの感覚が気持ち悪い。
それを察してか、雪斗は楓の雄をやんわりと握ると動きに合わせて擦り始めた。
「んあぁ、あっ。」
擦られ、力が抜け、後ろの穴が緩くなった瞬間激しく突き上げた。
そのとき雪斗の雄が楓の前立腺を擦り、楓の口から高い声が漏れた。
「どう?気持ちいいでしょ?」
雪斗はなおも激しく突き上げる。
「ねぇ、もう限界。一緒にいこ?」
楓が何か言う前に腰の動きを更に激しくすると射精感を頂点まで高めた。
「あっ、あっ、んあ。」
楓はもはや声を抑えることができなかった。
断続的に声が漏れる。
そして雪斗はギリギリまで自分の雄を引き抜くと一気に奥まで挿入した。
「んあぁぁぁぁ。」
楓は白濁した液を出すのと同時に中に雪斗が精液を叩きつけるのを感じた。
雪斗は全てを流し込むように腰を揺らして出し切ると、ゆっくりと楓の中から出た。
雪斗が出るのと一緒に雪斗のものが楓の太腿を伝った。
「うっ。」
自分の足を伝う白い液体に、恥ずかしいような泣きたいような複雑な気持ちになった。
楓は小さく声を漏らすと顔を見られないようにと下を向いた。
「大丈夫?ごめんね、中に出しちゃって。」
下を向いた楓を心配して雪斗は近づいたがすぐに押し返された。
「近寄んな・・・。」
どこか声も弱々しい。
「楓・・・?」
雪斗も弱々しく名前を呼んだ。
「二度と俺に触れんな!!」
雪斗に向かって怒鳴った。
顔を上げると瞳が潤んでいるように見えた。
「・・・わかった。もう触らないし近寄らないよ。さよなら・・・吉永くん。」
冷たい声でそう言った。
顔もどこか冷めているようだった。
すぐに服を着てしまうと鞄を持って部屋を出て行った。
静かにドアの閉まる音が響いた。
怒りと恥ずかしさに雪斗のことを考えるということをしなかった。
それが後々楓を苦しめることになるなんて・・・。
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06'5/31