動物園 4


園長に相談に行ったが、名刺を見せると「行って来い」と言われた。
ついでに「お金ならいくらでも出してやる」とも言われた。
園長に言われたのなら仕方ないとpm7:00に示された場所に向かった。
その場所はホテルも兼ねているところでまさにお金持ちが行きそうなところだった。
中に入るととても広く装飾も豪華である。
お客さんも普通の店にいはいなさそうな雰囲気の人たちばかりである。
「岡里 茅宥様ですか?」
突然お店の人に尋ねられて戸惑いながらも答えた。
「そう・・ですが・・・。」
「お待ちしておりました。ご案内致します。」
そう言われ店員さんの後を恐る恐る付いて行く。
案内されて着いた場所は店の奥のほうに位置していて、個室だし他のところより煌びやかさが増していた。
まさにVIPルームという感じだ。
いや、実際そうだったのかもしれない。
「都様。お連れの方がお着きになられました。」
「・・・入れ。」
部屋の中からは前に聞いた低めの声が聞こえてきた。
言われて中に入るとそこにはあの男がいた。
「失礼します。」
そう言って店員さんは部屋から出て行った。
「あの・・・。」
茅宥はどうすればいいのか困って口を開くと男は座れと促した。
茅宥は仕方なく近くにあったソファに腰を下ろした。
座ってから改めてじっくり内装を見ると細かなところまで緻密な細工が施されている。
ここまでに通ってきたほかの客席とは大違いである。
床は大理石に見える・・・というかそうなんだろう。
高そうな絨毯、テーブルは所々に金細工が施され、自分が座っているソファも高そうだ。
上を見ればシャンデリアだし、前を向けば窓からきれいな夜景が見える。
そういえばここまで見て思ったがなんだかホテルの一室のようにも見える。
違うのはベッドやお風呂がないところだろうか。
間違いなく高そうな雰囲気に茅宥は思わず財布の中身を確認したくなった。
(来ない方が良かったかも・・・)
などと思っても後悔先に立たずだ。
(悔やんでも仕方ない。こういうことははっきり言わないと!!)
「あの、俺お金ないからこんなところ払えませんよ!!」
勇気を持って口に出せたと少し満足気だ。
しかし無茶を言われたらどうしようと心配もしている。
「別にここの代金を払ってもらおうなんて思っていない。」
「えっ?」
「ただ一緒に食事をして欲しかっただけだ。」
少し恥ずかしそうに言われた。
顔が赤くなったように見えたのは気のせいだろうか?
「だったら俺じゃなくても良かったんじゃ・・・?」
と、素直に口に出した。
「いや、茅宥が良いんだ。」
「どうして俺の名前を!?」
しかも呼び捨て?とまでは言えなかった。
なぜなら何か意思を持った強い目で見られたからであった。
目で訴えてこられても茅宥には何が言いたいのか分からなかった。
茅宥を見つめたまま都は話を続けた。
「ごめん。調べさせてもらった。」
「あんた一体・・・?」
「俺は都皇紀。呼び捨てで呼んでくれ。」
都皇紀なんて聞いたこともない名前だった。
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06'4/2